これはもはや選挙妨害などで片付けられる問題ではない。
自民党総裁選挙を辞退するしかないだろう。
自民党総裁選での小泉進次郎陣営によるステマ工作問題は、単なる選挙戦術の範囲を完全に逸脱している。
特に驚愕すべきは、元デジタル相の牧島かれん氏が広報班長として関わっていたという事実だ。
デジタル政策の専門家とされる人物が、まさにその専門分野で最も卑劣な手法を使っていたのである。
デジタル相経験者の信じがたい行為
牧島氏は「事務所の判断だが私の確認不足」と弁明しているが、これほど白々しい言い訳があるだろうか。わたしは正直、耳を疑った。
前橋市の小川市長のラブホテルに10回行って、「男女の関係はなかった」と苦しい言い訳と同じ構図。
デジタル相を経験し、現在は党広報本部のネットメディア局長、そして総裁選の偽情報問題対策の責任者でもある人物が、まさに偽情報工作に加担していたのだ。これは単なる確認不足ではなく、明確な背信行為である。
しかも、牧島氏の事務所が送ったメールには「参考例」として具体的なコメント文例が記載されていた。「あの石破さんを説得できたのすごい」「ビジネスえせ保守に負けるな」といった文言は、まさにニコニコ動画で実際に投稿されたコメントと一致している。これが偶然だと言うのは無理がある。
デジタル政策を推進する立場にありながら、その裏でネット工作に手を染める。この矛盾した行動は、わたしたち国民への重大な裏切りだ。
500件以上の異常なコメント投稿
今回明らかになった工作の実態は、想像を絶するものだった。一つのIDから500件以上ものコメントが投稿され、数十秒おきに「進次郎ならできる」「小泉決まり」といった同じフレーズが連投されていた。
これはもはや応援ではなく、明らかな情報操作である。しかも、その内容は小泉氏への称賛にとどまらず、他の候補者への誹謗中傷や、報道陣への批判まで含んでいた。「出た変な記者」「分かってない記者」といったコメントは、報道の自由に対する攻撃でもある。
特に問題なのは、「石川からも応援しています!」「福島浜通りから見ています」といった、能登半島地震や東日本大震災の被災地を装ったコメントだ。これは被災地の人々の気持ちを踏みにじる行為である。わたしは怒りを禁じ得ない。
このような工作活動は、民主的な選挙制度への重大な挑戦だ。有権者の判断を歪める情報操作は、民主主義の根幹を揺るがす行為である。
そもそも、自民党はSNSの誹謗中傷対策強化を掲げ、匿名投稿に対する情報開示請求を積極的に行う方針を示している。その当事者が匿名性を悪用した工作に関わっていたとは、まさにダブルスタンダードの極致だ。
小泉進次郎氏は謝罪したが、その内容も表面的なものに過ぎない。「陣営の一部が行った」として責任を転嫁する姿勢が透けて見える。しかし、これは明らかに組織的な工作活動であり、候補者本人が知らないはずがない。
わたしたち有権者は、このような手法で権力を握ろうとする人物を信頼できるのだろうか。政治への不信が高まる中、さらに国民を失望させる行為である。
今回の問題は、小泉陣営だけの問題ではない。自民党全体のガバナンスが問われている。党として再発防止策を示すだけでなく、関係者の責任を明確にすべきだ。特に牧島氏については、現在の役職からの辞任が当然である。
政治家には高い倫理観が求められる。ネット工作という卑劣な手段に手を染めた以上、その責任は重い。わたしたちは、このような行為を決して見過ごしてはならない。真の政治改革とは、こうした腐敗を根絶することから始まるのだから。