永住許可を取り消せる新制度が2027年に始まるというが、出入国在留管理庁が示した運用案を見て、正直なところ愕然とした。
税金や社会保険料を払わない外国人の永住許可を取り消す~一見すると当たり前の制度なのだが、その中身はあまりにも甘い。
「故意に支払わない場合」という文言ひとつとっても、判断基準が曖昧すぎるのだ。やむを得ない事情がないこと、支払い義務を認識していること、この2つを両方満たす必要があるという。
つまり「通知が届いていなかった」「支払い義務を知らなかった」と言われてしまえば、それだけで対象外になってしまう可能性がある。
日本人には容赦なく請求が来るのに
わたしたち日本国民は、税金や社会保険料の支払いについて一切の猶予を与えられていない。通知が届こうが届くまいが、知っていようが知らなかろうが、納税は義務だ。督促状が来て、延滞金が加算されて、最悪の場合は財産を差し押さえられる。
それが当然の仕組みとして機能している。
なのに、なぜ外国人の永住者には「認識したか不明な人は除外」なんて温情措置が用意されるのだろうか。おかしくないか、これは。同じ日本で暮らし、同じ社会インフラを使い、同じ恩恵を受けている人間に対して、なぜ国籍によって基準が変わるのか。理解に苦しむ。
しかも「悪質な人に限り取り消す」という表現もひっかかる。滞納の回数が多く額が大きい、今後も払う意思がないことが明らか――こんな条件を満たすまで放置するということだ。つまり1回や2回の滞納では何もされない。何度も繰り返して、しかも開き直るような態度を取って初めて動き出すわけだ。その間、真面目に納税している日本人や外国人は、ただ黙って不公平を受け入れろというのか。
永住権は特権ではなく責任を伴うもの
永住権というのは、本来ものすごく重い権利である。日本で生まれ育ったわけでもない人が、この国で一生暮らすことを認められる。在留期間の制限もなく、職業選択の自由も広がり、社会保障も受けられる。これだけの恩恵を受けるのだから、当然それに見合った責任を果たすべきだ。
ところが現実には、永住許可を得た後に更新手続きがないため、チェック機能が働かない。税金を払わなくなっても、誰も気づかない。気づいても対処できない。そんな状態が続いてきたという。これは制度設計の失敗だ。そしてその失敗を取り戻すための今回の改正なのに、運用案がこれでは意味がない。
「人道上の配慮が必要な場合は資格を変更する」という文言も要注意である。命に関わる重い病気で治療中の人――確かにそういうケースもあるだろう。でも、この「人道上の配慮」という言葉ほど拡大解釈されやすいものはない。なし崩し的に例外だらけになって、結局誰も取り消されないなんてことになりはしないか。
ネットのコメントにもあったが、「日本に住みたいとお願いしてきた永住権者」に対して、なぜここまで腑抜けた対応をするのか。わたしたち日本人より甘い基準が適用されること自体が、おかしいのだ。他の国で生まれ育った人が日本の習慣や常識に合わせるには努力が必要――まさにその通りで、その努力を厭わない人だけが永住にふさわしい。
諸外国を見てみればいい。永住権の取得条件も、取り消し要件も、日本よりはるかに厳格な国はいくらでもある。むしろ日本は甘すぎるくらいなのだ。「国際的にどう見られるか」を気にするなら、外国人に対して日本人より厳しい基準を設けることこそが当然だと、堂々と主張すべきではないか。
故意であろうとなかろうと、一度でも滞納した時点で取り消し――これくらいの厳格さがあってもいい。そう思う人は決して少なくないはずだ。わたし自身、そこまでやるべきだと考えている。財産を没収して強制送還、それが抑止力になる。
日本は優しい国だ。困っている人を見過ごせない国民性がある。だからこそ、その優しさにつけ込まれてはいけない。ルールを守れない人間に対しては、国籍を問わず厳しく対処する。それが本当の公平さであり、社会の秩序を保つ唯一の方法なのだから。
来年夏にガイドライン案がまとまるという。その内容次第では、この制度が骨抜きにされる可能性もある。わたしたちはしっかりと見張っていかなければならない。日本という国を、次の世代に引き継ぐために。