
また党名を変えるつもりなのだろうか?
立憲民主党の迷走ぶりを見ていると、そんな不安がよぎる。
民主党から民進党へ、そして立憲民主党へ。
看板を掛け替えるたびに「これで生まれ変わる」と言い続けてきたこの政党だが、党勢は沈むばかりである。
国民が求めているのは、新しい党名ではない。実質的な政策提案と、確固たる政治理念だ。
多党化の波に埋没する野党第1党
高市政権の高支持率を前に、立憲民主党が反転攻勢の糸口をつかめずにいる。安住淳幹事長は「自民党に代わる政権を小選挙区で争うのが基本だ」と自信満々に語るが、その言葉とは裏腹に、野党第1党としての存在感は驚くほど薄い。
今夏の参院選では議席を伸ばせず、野田佳彦代表ら執行部は「事実上の敗北」と総括した。先の臨時国会でも、高市首相との対決姿勢を強めたものの、野党間の足並みはそろわず、内閣不信任決議案の提出すら見送っている。これで本当に政権交代を目指しているのかと、首をかしげざるを得ない。
一方で、日本維新の会は高校無償化、国民民主党は「年収の壁」見直しと、それぞれ看板政策で具体的な成果を上げている。報道各社の世論調査を見ても、野党各党の支持率は横並びの状況だ。かつては野党の中核として期待された立憲民主党が、今や他の野党と並ぶ一つの選択肢に過ぎなくなっている。
台湾有事への質問が裏目に
象徴的だったのが、台湾有事をめぐる国会答弁である。立憲民主党が質問した内容に対し、SNS上では立民側への批判が集中した。国民の多くが安全保障への関心を高めている中で、立民の姿勢が時代の要請とずれていることを露呈した形だ。
若手議員は「極端な世論に訴えかけても長続きしない」と冷静な対応を強調する。しかし、党内のベテラン議員からは「執行部が何をしたいのか分からない」との不満が漏れる。多党化の波に埋没する現状へのいら立ちが、党内に充満しているのだろう。
安住氏は「ど根性を決めて中道リベラルの道を固める」と宣言した。念頭には国民民主党や公明党との連携があるという。安全保障や原発など基本政策の再検討を進める構えだが、これまで支持してきた層が離れるリスクも大きい。
国民が待っているのは看板ではない
わたしたち国民が政党に期待しているのは、党名のリニューアルではない。日々の暮らしに直結する経済政策、将来への不安を和らげる安全保障政策、そして説得力のある外交戦略である。
民主党政権時代の混乱を覚えている有権者は多い。あの時の失望が、今もなお野党への不信感として残っている。党名を変えれば過去がリセットされるとでも思っているのだろうか。そうではないはずだ。
野田氏は「来年はうま年だ。全国を走って回り、存在感を示したい」と意気込む。だが、走り回るだけでは支持は集まらない。具体的な政策ビジョンを示し、国民生活の向上に貢献できる姿勢を見せてこそ、初めて信頼が生まれるのだ。
来年中の衆院解散・総選挙の可能性が取り沙汰される中、立憲民主党も12月に入って情勢調査を実施するなど、準備を急いでいるという。しかし、準備すべきは選挙対策ではなく、国民に響く政策の中身ではないか。
二大政党制への待望論が後退している今、野党第1党の責任は重い。自民党に対する健全な批判勢力として機能し、政権交代可能な選択肢を提示する。それができなければ、存在意義すら問われることになる。
党名変更という安易な道を選ぶのではなく、腰を据えて政策を磨き、国民の信頼を一つ一つ積み重ねていく。そんな地道な努力こそが、今の立憲民主党に求められているのである。

