
大みそかのわずか2日前に発表された衝撃的なニュース。
韓国発の4人組ガールズグループaespaがニンニンのインフルエンザ感染により3人での紅白歌合戦出場を強行するという。
この判断に、わたしは公共放送NHKの姿勢に強い疑問を感じざるを得ない。
なぜなら、完全な状態でのパフォーマンスを届けられないのであれば、出場そのものを見送るべきではないのか。
ニンニンは20日から体調不良が続いており、病院での診察でインフルエンザ感染が確認された。
医師からは十分な休養と安静が必要との診断が出ている。所属事務所はNHKに申し入れを行い、残る3人での出場が決まったわけだ。
しかし、ちょっと待ってほしい。4人組として活動するグループが、メンバー1人を欠いた状態で国民的番組に出演することが、はたして適切なのだろうか。
これは単なる体調不良の問題では済まされない。
なぜ3人での出場を頑なに認めたのか
NHKは今回、わずか2日前という直前のタイミングで3人出場を承認した。普通に考えれば、グループとしての完成度を保つため、また視聴者に最高のパフォーマンスを届けるため、出場辞退という選択肢もあったはずである。
実際、過去の紅白歌合戦では体調不良や怪我により出場を辞退したアーティストは数多く存在する。それは決して恥ずべきことではなく、むしろプロフェッショナルとしての誠実な判断だったといえるだろう。
ところが今回、NHKは3人での出場を認めた。この判断の背景には何があるのか。視聴率への配慮なのか、それとも韓国との文化交流を重視したのか。いずれにせよ、受信料で運営される公共放送として、国民への説明が不足している。これは極めて不誠実だ。
他の出場アーティストとの公平性という観点からも問題がある。全てのアーティストが万全の状態で本番に臨むために、日々努力を重ねているはずだ。そんな中で、メンバーが欠けた状態での出場を特別に認めるというのは、他のアーティストに対して失礼ではないのか。
ランプ投稿問題と公共放送の責任
さらに見過ごせないのが、ニンニンが過去に投稿した原爆を連想させるランプの写真である。2022年にファン向けアプリで投稿されたこの写真は、傘の部分がキノコ雲を思わせる形状をしており、SNSを中心に大きな物議を醸した。出場辞退を求める署名活動まで行われていたのだ。
所属事務所は今回の発表文で「この投稿に特定の目的や意図はございませんでしたが、さまざまなご懸念を生じさせるものでした」と釈明している。しかし、これで問題が解消されたとは到底いえない。
世界で唯一の被爆国である日本において、原爆に関する表現がどれほどセンシティブなものか。公共放送NHKがこうした問題を抱えるアーティストの出場を認め、さらに特例的な対応まで行うというのは、理解に苦しむ。
受信料で成り立つ公共放送には、国民に対する説明責任がある。なぜ今回のような判断に至ったのか、なぜ3人での出場を認めたのか、きちんとした説明が求められるのではないか。
紅白歌合戦は日本の年末を彩る国民的番組だ。だからこそ、出場するアーティストには最高のパフォーマンスを期待する。4人組のグループなら4人全員が揃って、初めて完成されたステージになるのだ。
わたしたちは受信料を支払い、NHKの運営を支えている。
その視聴者に対して、今回のような説明不足の対応は許されるものではない。
公共放送としての矜持はどこへいってしまったのか。
全員揃っての出場、それが原則であるべきだった。

