
解散総選挙報道から一夜明けて、永田町の空気が変わった。
衆院解散の風が、確実に吹き始めている。日本維新の会の吉村代表が11日のNHK番組で明かした高市首相との会話は、まさにその証拠だ。
「一段ステージが変わった」というやり取り。
この言葉の裏には、いったい何が隠されているのだろう。
解散を巡る駆け引きの始まり
吉村代表の発言は、非常に興味深い。
首相官邸での政府・与党連絡会議後に交わされた会話が、解散への重要なシグナルになっている。具体的な時期には触れなかったというが、それがかえって想像力をかき立てる。23日召集予定の通常国会冒頭での解散。
この可能性が、リアルな選択肢として浮上してきたのだ。
わたしが注目するのは、維新の姿勢である。
吉村代表は「自民党との連立政権と連立合意の内容は国民の信をまだ得ていない」と明言した。これは極めて正論だろう。昨年秋の総選挙で自民党は大きく議席を減らし、公明党との連立だけでは過半数に届かなかった。
その後、維新との部分連合という形で政権を支えてきたが、確かに国民の審判は受けていない。
政治の安定という名の先送り
一方で、高市首相の言葉も理解できる。
「政治の安定なくして強い経済政策も打てないし、強い外交安全保障も実現は難しい」。まさにその通りだ。中国の圧力は日増しに強まり、経済安全保障の課題は山積している。こうした状況下で、選挙による政治空白を作るべきなのか。悩ましい問題である。
だが、わたしには疑問もある。
政治の安定を理由に解散を先送りにすることは、本当に国民のためになるのだろうか。確かに目先の安定は得られるかもしれない。しかし、正当性のない連立政権で重要な政策決定を進めることは、
長期的には政治への信頼を損なうのではないか。
元内閣官房参与の藤井聡氏が番組で見せた反応も印象的だった。
「よっしゃ~」と喜びを表現したという。年末には解散はないと聞いていたのに、読売報道で状況が一変した。
藤井氏のような政権に近い立場の人間がこの反応を示すということは、解散への期待感が保守層に根強くあることの表れだろう。
「解散風は吹き始めたら止まらない」。
政治ジャーナリストの青山和弘氏のこの言葉には、重みがある。確かに過去を振り返れば、一度解散の観測が流れ始めると、それを止めることは困難だ。メディアは連日報道し、野党は臨戦態勢に入る。
与党内でも準備が始まり、もはや後戻りできない空気が醸成されていく。
わたしたち国民が求めているのは、政治の安定だけではない。
民主主義の根幹である「民意を問う」という手続きの正当性だ。自民・公明・維新という連立の枠組みで、消費税や安全保障、エネルギー政策といった重要課題を決定していくのであれば、それは国民の信任を得てからでなければならない。
今回の一連の動きで明らかになったのは、解散への現実的な道筋である。
維新が解散に前向きな姿勢を示したことで、高市首相にとっての選択肢が増えた。通常国会冒頭での解散は、施政方針演説前の解散となるため異例だが、過去に例がないわけではない。
むしろ、連立合意の内容を国民に問うという大義名分は、十分に説得力を持つ。
テレビの報道を見ていると、相変わらず表面的な政局話ばかりが目立つ。
解散のタイミングや選挙の勝敗予想ばかりに焦点が当たり、本質的な議論がおろそかになっている。
わたしたちが知りたいのは、連立政権が掲げる政策の中身であり、それが日本の将来にどんな影響を与えるのかという点だ。メディアには、もっと深い分析と報道を期待したい。
高市首相がどう判断するか。
それは近日中に明らかになるだろう。わたしとしては、勇気を持って国民に信を問う選択を支持したい。政治の安定は大切だが、民主主義の正当性はもっと大切だから。
解散風が本物の解散へと変わるとき、わたしたち有権者にも覚悟が求められる。
しっかりと政策を見極め、日本の未来を選び取る責任があるのだ。

