
「日本で中国人を狙った犯罪が多発している」――そう主張していた中国外務省の発言から、わずか10日後の出来事
千葉県いすみ市で、中国籍の男性が日本人女性を刺殺するという痛ましい事件が起きてしまった。
わたしは、この皮肉な現実を前にして言葉を失ってしまう。
12月5日午前9時半すぎ、会社の敷地内で起きたこの事件は、あまりにも突然だった。
中国籍のリュウ柯容疑者(39)が、同僚の立石みちよさん(58)の顔や首を、自宅から持参したナイフで複数回突き刺した。
面談中という、まさか凶器を持ち出すとは誰も想像できない場面での犯行。立石さんは搬送先の病院で亡くなられた。
容疑者は取り調べに対して容疑を認めているという。何らかのトラブルがあったとみられているが、それにしても、人の命を奪うという選択をしてしまったこの重さ。
被害に遭われた立石さんとご遺族の無念を思うと、胸が張り裂けそうになる。
統計が示す明白な事実
ここで振り返りたいのが、中国外務省の11月26日の記者会見での発言だ。「現在の日本社会では中国人を狙った犯罪事件が多発している」と主張し、日本側に中国人の安全確保を求めた。さらには「日本のインターネット上には中国に対する過激で脅迫的な言論が多数見られる」とまで述べている。
だが、本当にそうなのだろうか。日本の外務省は、中国側の主張に対して統計データを示して反論した。中国国籍の人が被害者となった凶悪犯罪の件数を発表し、「指摘は当たらない」と明確に否定したのだ。数字は嘘をつかない。感情論ではなく、客観的なデータに基づいた反論である。
それどころか、きょうの事件は、中国人が日本人を殺害するという、中国外務省の主張とは真逆の構図を浮き彫りにした。わたしは決して、個人の犯罪を国籍で一般化するつもりはない。けれども、統計を無視して一方的な主張を繰り返す中国政府の姿勢には、大きな問題があると言わざるを得ないのだ。
情報戦という名の外交圧力
中国政府はこれまでも、「日本の治安情勢は不安定だ」として日本への渡航や留学の自粛を呼びかけてきた。これは単なる注意喚起ではない。明らかに日本に対する外交圧力の一環だとわたしは考えている。
台湾有事をめぐる高市早苗総理の発言以降、中国側は日本に対して様々な揺さぶりをかけてきた。文化交流の一方的なキャンセル、そしてこの渡航注意喚起。事実に基づかない主張で日本のイメージを貶め、国際社会での日本の立場を弱めようとする狙いが透けて見える。
しかし、これは明らかに逆効果だろう。嘘は必ずバレるものだ。中国外務省が「中国人を狙った犯罪が多発している」と主張した直後に、中国人が日本人を殺害する事件が起きてしまった。この事実は、中国側の主張がいかに根拠薄弱であるかを如実に示している。
わたしたち日本国民は、メディアの偏向報道や一方的な情報に惑わされることなく、事実に基づいて物事を判断しなければならない。中国政府が繰り返す「日本は危険だ」というプロパガンダに対して、わたしたちは冷静に、しかし毅然と反論していく必要がある。
日本は世界でも有数の治安の良い国だ。それは統計が証明している客観的な事実である。もちろん、完璧な社会などどこにも存在しない。事件は起きるし、改善すべき点も多々ある。けれども、根拠のない誹謗中傷によって日本の評判を貶めようとする試みには、断固として声を上げなければならないのだ。
今回の痛ましい事件で命を奪われた立石さんのためにも、わたしたちは真実を見極める目を持ち続けたい。中国外務省の出鱈目な主張に騙されることなく、事実に基づいた議論を重ねていくこと。それこそが、健全な国際関係を築くための第一歩なのではないだろうか。
出鱈目をデタラメと呼べる勇気を日本人は持たなければならない。

