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南米で激化するアメリカ・トランプ大統領による軍事圧力 モンロー主義復活が示す新たな世界秩序

トランプ大統領マドゥロ

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トランプ政権がベネズエラへの地上攻撃を警告し

米国民に「直ちに」退避するよう勧告した。

これは単なる脅しではない、本気の軍事介入の予告である。

南米ベネズエラをめぐる情勢が、いよいよ危険水域に入ってきた。

米国務省が渡航リスクを最高レベルの「レベル4」に引き上げ、トランプ大統領自らが麻薬組織への地上攻撃を予告している。

すでに洋上では22回もの攻撃が実施され、80人以上が命を落としているのだ。この数字を見ただけでも、事態の深刻さが伝わってくる。

モンロー主義の再確認が意味するもの

わたしが特に注目したのは、トランプ政権が新たな外交戦略文書で「モンロー主義の再確認」を明記した点だ。モンロー主義とは、19世紀に確立された「欧州諸国は米大陸に干渉するな」という米国の外交原則である。

200年前の原則を今、あえて持ち出してきた意味を考えなければならない。

これは米国が、自国の裏庭である南米地域での絶対的な影響力を再び確立しようとしているサインにほかならない。

中国やロシアの影響力が南米にも及んでいる現状に対し、トランプ政権は「ここは米国の勢力圏だ」と明確な線引きをしたのだろう。実際、戦略文書には「西半球における米国の優越性を回復する」と書かれている。かなり強い表現だ。

ただ、この軍事的圧力には疑問も残る。ピート・ヘグセス国防長官が洋上攻撃で「生存者を出さないよう命じた」との報道があり、攻撃の合法性が議論を呼んでいるのだ。麻薬組織の撲滅という目的は理解できるものの、手段が目的を正当化するわけではない。

国際法の枠組みを超えた一方的な軍事行動は、長期的には米国の信頼性を損なう可能性がある。

独裁政権の抵抗と地域不安定化のリスク

一方のマドゥロ大統領も、ただ黙っているわけではなかった。驚いたことに、隣国ブラジルの国民に向けて「ベネズエラの平和と主権を守るため街頭に出てほしい」と呼びかけたのである。

自国民ではなく、他国の国民に助けを求めるという異例の行動だ。

この呼びかけは、ブラジル人実業家がカラカスを訪れてマドゥロに辞任を求めたとの報道が出た翌日に行われている。タイミングから考えて、国内外からの圧力に相当追い詰められているのだろう。

だが、他国の国民を政治的に動員しようとする試みは、地域全体の不安定化を招きかねない危険な賭けである。

米国務省が挙げたベネズエラ国内のリスク、不当拘束、拷問、テロ、誘拐、医療インフラの崩壊といった深刻な人権状況を見れば、マドゥロ政権の正統性には大きな疑問符がつく。

しかし、だからといって外国が軍事介入してよいという話にはならない。

わたしたち日本人にとって、この南米の危機は遠い世界の出来事ではない。権威主義国家と民主主義国家の対立、軍事力による一方的な現状変更の試み、国際秩序の揺らぎ、これらはすべて東アジアでも起こりうる問題だからだ。

ベネズエラ情勢は、国際社会がどこまで独裁政権の人権侵害を許容するのか、また民主主義国家がどこまで軍事力に頼るべきなのか、という難しい問いを突きつけている。答えは簡単には出ないだろう。

だが、この問いから目を背けることはできない。日本の安全保障を考える上でも、避けて通れない課題なのである。

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